40数年の時を埋めた「修学旅行をたどる旅」…。
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何年か前の高校の同窓会で、「もう一度、修学旅行で訪れた場所に行ってみないか…?」という話になり、何人かの賛同があった。
誰もが高校を卒業して40数年。そろそろ全員が還暦を迎える年齢になった。
子育てを一段落させた者も居れば、介護に忙しいものも居る。
早期に退職し一線を退いているものも居れば、目前に定年を控えているものも居る。しかし、誰もに共通して言える事は…若干の程度の差はあれど、
「それぞれが60年の人生の重みを間違いなく背負って生きてきた」と言う事実だろう。

果たしてどれだけの参加者が集まるのだろう…。
2年前、手探りの中でその計画が動き出した。
実施時期は、4年毎に行われている「同窓会」の合間の年に実施しようと言う事に決まった。時期は当時とほぼ同じ10月の下旬とした。

40年の歳月は長い。増してや訪れた街や観光地の状況も激変しているだろう…との予測も難くは無い。
予想通り、当時泊った宿泊施設の幾つかは廃業して探し当てる事はできなかったものの、
何度か幹事達が集まり、各自の頭の中で薄れてしまっている当時の記憶を呼び起こし修正しながら、何とかコースを設定することができた。
全員に案内を郵送し、参加者を募った。同窓会に一度も顔を出したことのない人も居れば、宛先に訪ねあたらずに案内状が返送されてくる行方不明者もある。不幸にも永遠に参加できなくなる者の数も年々増えていく…。
「例え、参加者が増えなくても、ここに居る人数だけでも行こう!」と決めていた。

年齢を重ねれば重ねるほど、時の経つのは早いものだ。
あっという間に2年間の歳月が流れ、旅行当日がやってきた。

早朝から空港に集まったのは男女19名。卒業以来初めて再会する懐かしい顔が殆んどだったが、誰もが微笑を浮かべた満面の笑み中に当時の面影を残していた。
追憶は長い時の隔たりを瞬時にして飛び越えていく。
幾つかに分かれたグループのあちらこちらから笑いや歓声が伝え聞こえてくる。
皆、心は10代のあの頃にタイムスリップしているようだ。
「あの時はどうだった…」「いや、そうじゃなかった…」
悴んだ指先がストープの暖かさで解けてゆく…そんな会話のオンパレードだ。
普段言えない「愚痴」も、こんな時なら言えるのかもしれない。日頃のストレスも発散できて健康にも良いかもしれない。

楽しい時ほど「あっ」と言う間に流れ去る。
あれほど長かった準備期間に比べ、何と早く過ぎ去るものか…人生とは意地悪なものだ…。
2泊目の夜が深々と更けていった。

一緒に湯に浸かりながら友と交わした些細な会話も想い出となり、また励みとなった。
当時と同じように枕を並べ、明け方近くまで語り明かして新しい想い出を作った仲間も居るだろう…。

そんな想い出を、誰もが「そっ」と胸にしまいこんで帰路の飛行機に乗り込んだ。
「楽しかったね…」「また、やろうね…」
長かった40年の空白を飛び越えた旅の第一章の幕が降りかかっている。
そんな言葉を聞きながら、「やって良かった!またやろう…」と自分にも言い聞かせ、旧友の背中を見送った。

小さくなっていく友の背中が、緞帳の向こうに消えていった…。


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