No. 00034 緯度:38度 13分 経度:140度 57分
【宮城県】

日本三景「松島」とこけしの古里「遠刈田温泉」


「松島や、あぁ(さて)松島や、松島や」の句は余りにも有名で、松尾芭蕉が「奥の細道」で当地を訪れ、あまりの絶景にこの句を詠んだとされているが、実際には芭蕉は「奥の細道」の中で句を詠んではいないと言われている。
現在では、江戸時代後期に相模国(神奈川県)の狂歌師・田原坊が詠んだというのが定説となっている。

松島と言えば湾内に浮かぶ大小さまざまな島の景観が有名だが、その数は250以上あり、全ての島に名前がつけられている。
遊覧船の後をカモメの群れが追う こけしが遠刈田温泉のシンボル
遊覧船の後をカモメの群れが追う こけしが遠刈田温泉のシンボル

蔵王の東山麓に佇む遠刈田温泉はこけしの古里として知られ、400年前に開湯されたと伝えられるが、実際にはもっと古くから開かれていたとも伝えられる。

ビデオをご覧ください...

カモメが語りかける「松島」と、こけしが誘う「遠刈田温泉」
瑞巌寺総門(県文化財指定)
瑞巌寺総門(県文化財指定)
瑞巌寺本堂(写真は瑞巌寺提供)
瑞巌寺本堂(写真は瑞巌寺提供)
瑞巌寺参道の杉並木
瑞巌寺参道の杉並木
円通院
円通院
♪松島〜の…♪の歌い出しでお馴染みの瑞巌寺は、現在は臨済宗妙心寺派の寺で、山号を「松島青龍山瑞巌円福禅寺」と呼ばれる禅寺である。
天長5年(828年)比叡山延暦寺第三代座主慈覚大師円仁により創建されたことから、当時は天台宗派、延福寺と呼ばれていたらしい。

車の行き交う松島海岸に面した南面に「総門」が建ち、杉並木に囲まれた参道の先に本堂が配されている。高く空へと伸びる杉並木の中を歩くと、何故か心が落ち着く。多分、目には見えないが、沢山のマイナスイオンが発生しているのだろう。やはり旅は体にいいものだ。
江戸時代には、杉並木のその両脇に十二の塔頭があったようだが、今は跡形も無い。ただ、崖壁には、当時の修行僧が生活したとされる洞窟が苔生したまま、石像や石碑と共に静寂の中にひっそりと佇んでいる。思わず足を止め手を合わせずには通り過ぎられなかった。

本堂に隣接して、伊達政宗の嫡孫(ちゃくそん)光宗公の菩提寺である円通院がある。
円通院の庭園は紅葉の名所としても有名である。
この界隈にはみやげ物屋や食事処が軒を連ねているので、いつも人ごみが絶えない。
ここらで名物の牡蠣料理に舌鼓を打つのも良い!…と、暖簾を掻き分ける事にした。

松島湾遊覧船の乗り場
松島湾遊覧船の乗り場
瑞巌寺を散策し旬の「牡蠣」も食したので腹の虫も治まり、海岸の方へと足を伸ばした。

松島湾の景観は、その昔、沈降による海水の浸水により出来上がったもので、現在の島は当時の山の頂であったところだ。凝灰岩や砂岩を手とする地形なので、土の色も白く、その上に生える松の緑とのコントラストが美しい。水深の平均は10m位と言うから、それほど深くはない。もちろん、大型船が入ってくることはできない。
港からは多くの観光汽船が頻繁に出入りしている。松島湾観光には30分コース、45分コース、1時間コース等、幾つかのプランが用意されているので、旅のスケジュールに合わせられるので便利だ。
若干の時間があったので30分コースに乗船することにした。
出港と同時に餌付けされたカモメが餌をせがんで来た
出港と同時に餌付けされた
カモメが餌をせがんで来た
船が動き出すと直ぐにカモメが後を追ってきた。デッキ上では「カモメの餌はいかがですかぁ〜?」と餌の販売が始まる。一袋100円を支払い、空にかざすと直ぐにカモメが啄んでいく。カモメと目が合う…。その眼差しを見ると、思わず「ドキッ」とさせられてしまった。
船内には観光紹介の音声が流れているが、誰もがカモメに夢中になっていて耳を傾けているものは居ない。
このカモメも餌付けが始まったのは何時からか…?と訪ねてみたが、明確な回答は得られなかった。
ちなみに、餌は「かっぱえびせん」のようだ。

東北は経度が東にある分、日の出も早いが日没も早い。南の端の沖縄とは1時間近くの差がある。

港に戻った後、少し土産物店を冷やかし、今日の宿泊地である遠刈田温泉(とおかった・とおがった)に向かった。

遠刈田温泉は江戸時代には宿場町、湯治場として賑わいを見せた古き良き温泉町で、今でも東北への旅の疲れを癒してくれる素朴な温泉町としてお勧めである。
10数件の旅館があるが、いずれも素朴だ。その内の1件で300年前から営業していると言う老舗の「三治郎」に投宿した。
みやぎ蔵王こけし館
みやぎ蔵王こけし館
遠刈田温泉はこけしの産地として、同じ宮城県の「鳴子温泉」と肩を並べる。首を回すと「キュッキュッ」と鳴るので有名で、遠刈田には伝統に育まれた約5000点の新旧のこけしが展示された「みやぎ蔵王こけし館」(入場料:大人300円・最終入館時間 午後4時30分)がある。事前予約が必要だが絵付けの体験コースも用意されている。

遠刈田温泉の湯は、やや緑がかった褐色の半透明のにごり湯である。泉質はカルシウム・ナトリウムー硫酸塩泉低張性弱アルカリ性高温泉で、源泉の温度は50℃となっており、足腰の病に効くと言われている。尚、現在の源泉数は83本ある。
晩秋の北の街では、周囲を囲む山陰に日が沈むと一気に気温が下がり、知らず知らずに体が冷える。
その冷えた体を温泉で暖めるこの時間が、日本人としての至福の時間だ!ゆっくりと体を温め、明日の鋭気を養うために今夜はぐっすりと眠ろう…。

ここ遠刈田温泉は学生時代の修学旅行でお世話になった地であり、その時、鷹の一刀彫りを買った覚えがあるが、街中探しても見つけられなかった。
翌日、米沢市で「お鷹ぽっぽ」として再会する事ができた。買って帰った事は言うまでもあるまい…。
修行僧が生活したとされる瑞巌寺の洞窟 松と島の調和が松島のシンボル 無事、我が家のケースに鎮座したお鷹ぽっぽ
修行僧が生活したとされる瑞巌寺の洞窟 松と島の調和が松島のシンボル 無事、我が家のケースに鎮座したお鷹ぽっぽ

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