No. 00024 緯度:35度 32分 経度:136度 34分
【滋賀県】 透明な疎水にゆれる売価者群生を訪ねる 中山道・醒ヶ井宿

JR東海道線「米原駅」よりひとつ東、岐阜寄りに位置する醒井(さめがい)=JR駅名は(醒ヶ井)
江戸時代、江戸と京都を結ぶ大切な街道であった中山道の宿場町として栄え、今も、歴史豊かでしっとりと落ち着いた街である。
広重の東海道五十三次の浮世絵にも描かれている。

醒ヶ井の最大の見どころは、中心部を流れる地蔵川の清く澄んだ水の中で群生し揺らぐ梅花藻の群生。心地よい清流の音と共に訪れる旅人の心を癒してくれる。
街中を流れる地蔵川 醒ヶ井自慢のバイカモ
街中を流れる地蔵川 醒ヶ井自慢の梅花藻

梅花藻はキンポウゲ科の水生多年草で、最高水温20度以下の清流でしか育たない植物。
7月初旬から8月にかけて水中や水面に8mmから1cmぐらいの白い可憐な花を咲かせます。

梅花藻は綺麗な流水でないと生きていけない可憐な花

住民全員で清流を守っている
窓辺でのんびり虚ろニャン
窓辺でのんびり虚ろニャン
地蔵川界隈には自家用車は入れないため、JR駅前の駐車場(無料)を利用の上、徒歩で散策することになる。駅前から梅花藻の群生エリアまで、徒歩で約5分。
夏の終わりの地蔵川では、川沿いに植えられたサルスベリのピンクの花も楽しめる。
道路脇に立つ中山道の道しるべ
江戸時代、日本橋を基点とする大きな街道が5つあり、五街道と呼ばれていた。
東海道、甲州街道、奥羽街道、日光街道、そして中山道(中仙道とも書く)である。
中山道は、お江戸日本橋から、滋賀県の草津まで129里を67の宿場で結び、その中で醒井宿は61番目の宿場として栄えた。最初にできた街道は、誰もが知っている東海道で、中山道は二番目に整備されたメイン街道だった。
街中で見かけたイラストマップ
街中で見かけたイラストマップ 画像拡大表示

ここで少し「宿場街」の仕組みについて書いておこう。
宿場には概ね次のような施設が設置されていた。
・問屋場 (といやば)公共使用の馬を常時用意し、乗り継ぎ等の必要時に提供する。
今ならガソリンスタンドかレンタカー
・本陣 武家や公家用の宿泊・休憩施設(庶民は使用不可)今なら公務員専用宿舎
・脇本陣 本陣の補助施設。
空いている時は庶民も利用できた。
・旅籠 食事つきの宿泊施設。今なら旅館・ホテル
・木賃宿 素泊まりの簡易宿泊施設
・茶屋 飲み物や酒、食事を提供する施設
今ならレストランや喫茶店
・商店 一般的なお土産屋やお店
・高札場 幕府からの通達事項などを貼出す場所
今なら交番や広報掲示板
・枡形 (ますがた)宿場の入口は直線ではなくクランク方に曲げられ、敵の侵入に備えられていた
・木戸 宿場の出入口に設けられた扉。防犯上、夜半は閉められていた
行灯看板が中山道であることを物語る…。
これらを見る限り、殆んど現在の観光地のシステムと変わらない。
敢えて今との違いを探せば、平和となった現在の日本の観光地にないのは「枡形」と「木戸」ぐらいかも知れない。
駅前から国道21号線を渡り、その先のT字路を左に少し歩けば、疎水を流れる清らかな地蔵川に出合う。地蔵川は春は桜、夏は梅花藻(バイカモ)、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の景色が楽しめる。
この清涼感を求めて、多くの観光客が訪れる。
この清涼感を求めて
多くの観光客が訪れる
水はあくまでも透明
水はあくまでも透明

絶滅が危惧される「梅花藻」
木枠を浮かべた「かわと」
木枠を浮かべた「かわと」
資料館として使われている旧醒ヶ井郵便局と十王水
資料館として使われている
旧醒ヶ井郵便局と十王水
加茂神社の日本武尊の像と夏祭りの神輿の宮入
加茂神社の日本武尊の像と
夏祭りの神輿の宮入
疎水なので水深はなく、透き通った水面から川底の小石の輝きが手にとるように見える。その川面に緑の絨毯を敷いたようにこんもりと広がり流れに揺らめいているのが梅花藻(ばいかも)。初夏から秋口まで白い梅のような花を水中に咲かせる事からその名がついた。
梅花藻は水温の低い綺麗な流水の中でないと生きていけない可憐な花だ。地蔵川の年間の平均水温は14度前後で一定している。そのため、夏場でも手をつけるとひんやりと冷たい。

この冷たさを利用して、川のいたるところに木や石で組んだ「かわと」と呼ばれる小さな囲みがあり、スイカや野菜、ビール等を冷やす場所として生活に溶け込んでいる。

梅花藻は富士山の伏流水で有名な柿田川などでも見られるが、全国的に絶滅が危惧される貴重な植物だ。
地蔵川沿いには、現在資料館として使われている「旧醒ヶ井郵便局」や天台宗僧浄蔵貴所が開いたとされる名水「十王水」、に沿って進むと、加茂神社の日本武尊の像が迎えてくれる。


     丹生川(にゅうがわ)に沿って
       いぼとり地蔵まで歩く


来た道を逆戻りし、地蔵川から離れる。
名神高速道路の高架下をくぐって丹生川沿いの道をのんびりと歩いてみるのも良い。
この道も四季折々の風情が楽しめ、散策にはもってこいの道である。但し、冬場は風が強いのでチョット辛いかもしれない。
「いぼとり地蔵」までは、片道小1時間歩く事になるが、春は河原に菜の花が咲き、夏の夜にはホタルが舞う。秋の散策は山を染める紅葉が楽しみだ。
のどかな河原沿いの道を鳥やヒグラシの鳴き声、河原に咲き誇る季節の花々や紅葉の鮮やかな彩りに癒されながら時間を過ごすのは、贅沢の極みである。いぼとり地蔵の先には、マスの養殖場があり、新鮮なマス料理が堪能できる。

のどかな春の丹生川を、花に癒されながら歩く
川にはこいのぼりも掛けられる いぼとり地蔵 広重が描いた醒ヶ井宿

tabitomaのTOPへ