No. 00017 緯度:35度 75分 経度:136度 95分
【岐阜県】 長良川の流れに佇む水の城下町 郡上八幡

岐阜県郡上八幡は北に白山、西に高山、東方に長良川が流れ山間に佇む水の豊かな城下町で中部地方の小京都と呼ばれている。

郡上八幡はよくテレビの2時間ドラマの舞台として登場するので馴染みが深い方も多いだろう。実際、町を歩いていると建物の角から主人公の二人組みが飛び出してきても何等不思議でない錯覚に陥ってしまう。日頃テレビを見ていると、郡上八幡は事件だらけの町であるかのように思っている人は多分いないだろうが、敢えて言っておこう!決してそんなことは無い。しっとりと落ち着いた情緒があり、平和で心優しい人々が住むところである。
新橋より吉田川を望む 郡上八幡は水が似合う街である 町の中央を流れる吉田川
町の中央を流れる吉田川
何と言っても郡上踊りが有名
郡上八幡は水が似合う町である 何と言っても郡上踊りが有名

吉田川 郡上八幡は「水が似合う町-夏が似合う町」である。
町の中央を吉田川が流れ、その吉田川を郡上街道が横切る。
そこに八幡大橋が掛けられている。
八幡大橋から見下ろす吉田川は、どこまでも透明だ。
吉田川
町の東側を長良川が流れ、沿うように長良川鉄道越美南線が走ってる。越美南線は岐阜県美濃加茂市の美濃太田駅から岐阜県郡上市の北濃駅までを結び、その中間地点に「郡上駅」がある。
越美南線は福井から九頭竜湖まで伸びるJR西日本の越美北線(九頭竜線)と一本化される予定だったが1980年に工事が中止されたままとなっている。

鉄道ファンにとって、越美南線は山間を走る人気のある路線であるが、「郡上駅」から町の中心地まで2km近い距離がある。夏の暑い日差しでは、都会育ち、運動不足の体には、この距離はちょっと徒歩では辛いかもしれない。最近は車で訪れる観光客の方が多いらしいが、それもなるほどと頷ける。

八幡旧庁舎記念館
八幡旧庁舎記念館
八幡大橋から500mほど下った川沿いに「八幡旧庁舎記念館」がある。
この辺りが観光のスタートポイントとして最適だ。
旧庁舎記念館の中には食堂や土産物店があり、トイレもあるので、常に観光客で賑わっている。
記念館脇にある新橋の上から下を覗き込んでみると、深緑色の底まで澄んだ吉田川が旅の疲れを癒してくれる。また、夏場なら川べりの岩の上からのダイビングが地元の子供たちの楽しみになっている。夏休み期間中は透明度の高い川面に眩しいほど白い水しぶきが一日中絶えない。

今回の散策は、ここからはじめることとしよう…
旧庁舎記念館前から橋を渡りT字路を左に行くと街道の名残を残した中心部へと入っていく。
建物の前は用水路が設けられ綺麗な水が絶え間なく流れている。
このような用水路が町全体に張り巡らされており、豊富な水量と、水と共に生きる人たちの生活の関係を窺い知ることができる。
玄関先に設けられた用水路は旅人に優しい
玄関先に設けられた用水路は
旅人にも優しい
道なりに少し歩くと「宗祇水」と書かれた標識が目に入った。

「宗祇水」とは、古くからの湧水であり、生活用水の場でもある。日本の名水百選に選ばれている。

郡上八幡では昔から水を大切に使うと言う根強い風習があり、それが現在に至るまで引き継がれている。

今も大事に守られている宗祇水 今も大事に守られている宗祇水
宗祇水は昔から住民の貴重な水場として利用され、上から順に、飲料水や米を磨ぐ綺麗な水。次が野菜や食器の洗い場用の水で、最後が洗濯や食べた食器等を洗うための水。と言った明確な順序が決められていた。
その守り事は現在も遵守され、町の財産として「綺麗な水」を守り、生活水として利用されている。
今も大事に守られている宗祇水
今も大事に守られている宗祇水
街道の風景が残る 踊りの町と大きく書かれたお店 一歩入った裏道もノスタルジックな佇まい
街道の風景が残る 踊りの町と大きく書かれたお店 一歩入った裏道もノスタルジックな佇まい

城下町と門前町を兼ね備えた…そんなコンパクトな町並みが好き
郡上八幡は郡上八幡城の城下町として栄えたが、社寺仏閣も点在し門前町としての顔も持ち合わせている。小さいゆえにそのどちらもを兼ね備えたそんな町並みが好きである。
郡上八幡城は町の西側の小高い山の頂にある。
戦国末期の武将、遠藤盛数によって永禄2年(1559年)に築城されたと言われている。
当時の城は明治維新の廃藩置県により石垣を残して取り壊された。現在の天守は昭和8年に再建されたもの。
規模は小さいながらも、形の美しい優美な城である。天守からの眺めも素晴らしく、現在、内部は歴史資料館などとして利用されている。

郡上八幡上天守閣 夏の日差しに輝き濃い緑に囲まれた城も捨てがたいが、春の桜のシーズンもまた格別な趣がある。
城の入り口までは徒歩でも車でも行くことができる。
作家、司馬遼太郎氏に「日本一優美な山城」と評されている。

門前町としての魅力を探訪する
日本全国、例外なく城の周りには寺や神社が集められ、門前町を形作っている。当然、大きな城は門前までの距離も遠くなるが、規模が小さければその距離も短く城と目と鼻の先に門前町が形成される。郡上八幡は後者だが、私はその距離がちょうど良いと思っている。それは門前町と城下町の違った情緒が互いに溶け合い融合している感じがしてとても落ち着く気がする。
城のすぐ下に岸剣神社、秋葉神社等の神社が並び、それを取り巻くように安養寺、浄因寺、長敬寺、蓮生寺などの寺が佇んでいる。

独特な形状の岸剣神社の鳥居 秋葉神社
独特な形状の岸剣神社の鳥居 秋葉神社
安養寺の参道 安養寺の鐘楼と桜
安養寺の参道 安養寺の鐘楼と桜
下柳町看板 城下の安養寺のある辺りが「柳町」その東側が「殿町」更に東側の小駄良川に挟まれた地区が鍛冶屋町となっている。また、郡上八幡の町の特徴として、各辻の突き当たりに寺院が設置されているところも興味深い。
童地蔵 童地蔵横用水
童地蔵横用水 童地蔵横用水

城からの長い下り道を歩き疲れ、たどり着くのが柳町で、そこに「童地蔵」と名づけられた地蔵菩薩が祀られている。ここは水飲み場にもなっていて、ひと汗かいた後の水分補給に多くの観光客が利用している。


町のあちこちで見かけた色紙 町のあちこちで見かけた色紙 町のあちこちで見かけた色紙
町のあちこちで見かけた色紙

 
郡上八幡を全国的に有名にしているものが7月中旬から9月上旬にかけての32夜にわたって実施される「郡上踊り」だ。特に8月13,14,15,16日のお盆の4日間は町中の老若男女や旅行客までが徹夜で踊りを繰り広げ、郡上踊りのハイライトでもある。
旅行客も郡上っ子もひとつの輪になって踊る郡上おどりは「見るおどり」ではなく「踊るおどり」といわれる所以だ。

日本全国、どこを探してもこんなに長期間にわたる盆踊りは無い。強いて言えば「日本一ロングランの盆おどり」である。また、浴衣姿の似合った女性が多く現れ、町並みに溶け込むのもこの時期だ。
お囃子にあわせるようなリズミカルな下駄の音、それに川のせせらぎが重なって山合いにこだまする夏の夜である。
踊り疲れて抜け出すカップルもいるかもしれない…。
正に郡上八幡が一年間でもっとも熱い時期である。
そんな刺激的な夏が、ここ郡上八幡にはある。

当然全国からアマチュアカメラマンや祭り好きが大挙し小さな町の人口が一気に膨れ上がる。勿論、この時期の旅館は全て満室だ。
京都の祇園祭、徳島の阿波踊り、博多のどんたく等々、日本人は祭りが好きだが、この期間、郡上八幡に泊まりたければ、一年前から予約を打診しておくことが賢明だろう。
残念にも旅館が取れなかった人は、下呂温泉や高山、九頭竜辺りの旅館への投宿をお勧めする。こちらもまた違った旅情が楽しめて良いものだ。
郡上八幡の夏はおどりとともに始まり、おどりとともに終わり、祭りの後片付けの始まりと共に山里に秋風が吹き始める。

郡上踊りについてはまだまだ書きたいことが沢山あるが、郡上八幡観光協会ホームページとリンクさせていただくので、もっと詳しい内容はそちらの方にアクセスして欲しい。また、郡上踊りには10種類の曲(歌詞)とその曲にあわせた振り付けがある。
一番一般的なものは「かわさき」と呼ばれるもので、落ち着いた歌詞や優雅な振り付けが広く親しまれている踊りである。上記ホーム頁に全ての踊りの動画が収録されているので、じっくりと違いを確認して欲しい。
また、踊りの上手い旅行客には、現場審査の上免許状が交付される。動画を見ながら練習し、来年の郡上踊りでデビューしてみては如何だろうか?

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