No. 00007 (2010/04/12) 北緯:33度 44分 東経:135度 76分
【和歌山県】
花と潮騒の詩が聞こえる 南紀串本への旅

桜の花便りが聞こえてくる季節--今年の冬は何10年振りと言う厳しい寒波で、すっかり身も心も縮み上がってしまったものの、ようやく暖かい日差しが戻ってきました。
軽くなった風に運ばれてくる花の香りと耳障りの良い波の音を求めて「本州最南端の町-串本」まで、のんびりと電車、バスに揺られる旅は贅沢そのもの。
大阪市内では、まだ桜の花もチラホラという感じですが、さすがは南紀。桜は既に八分咲きで、あらゆる樹木や草花が、柔らかい春の日差しに心地よく揺れておりました。
本州最南端、潮岬灯台と太平洋 取材班も、久し振りに長時間列車やバスに終日揺られた心地よい疲れを温泉で癒し、すっかりリフレッシュして帰って来ました。

 皆さんのお近くでは、どんな「春の風景」が芽生えていますか?
(写真は潮岬灯台)


のんびり行こう、特急オーシャンアローで南紀串本へ…
旅行と言っても様々な形がある。時代の流れと共に多様化し変化し続けているように思う。そもそも旅の交通機関として何も無かった時代の旅は「歩く」ことであった。

東京大阪間を新幹線「のぞみ」なら2時間30分程で行く事が出来る今では歩いて東京から大阪へ行くなど、到底考えられないだろう。それでなくても、ちょっとそこまで…という感覚で飛行機も利用されているし、車での移動は時間に束縛される事も無いので、気ままな旅が楽しめる。

飛行機も車もそれぞれ便利で、時間を有効に使う旅としては良いのかも知れないが、「旅情」は…?と考えてみるとやはり鉄道の旅が一番ではないだろうか…
のんびりとシートに座り、車窓からの景色を楽しんだり、駅弁を食すると言うのも鉄道の旅ならではの楽しみである。

そんな訳で、今回は敢えて鉄道と路線バスを使っての旅をしてみようと、大阪天王寺を出発し、南紀・串本から新宮、そして十津川村を経て帰阪する旅を計画してみた。

先ずは天王寺から、海沿いの風光明媚な区間を走るJRきのくに線の特急「オーシャンアロー」に乗り、南紀串本へと向かい、潮岬を巡り、串本温泉で1泊。
翌日はJRの鈍行列車で新宮へ行き、更に新宮駅前から路線バスで十津川村の「湯泉地温泉」に宿をとり、翌日はまた路線バスで十津川村北部の「谷瀬の吊り橋」などを見学後、帰阪の途につく…という日程だ。
まだ大阪では少し肌寒さが残るなか、いよいよ黒潮踊る南紀へと旅立つことに…
天王寺発午前9時22分の特急オーシャンアローに乗車。この列車の始発は京都で8時36分発、終着新宮には12時48分着なので、京都から新宮まで乗車すると4時間12分の列車の旅という事になる。

我々は天王寺から串本までの乗車なので、およそ2時間40分程の列車の旅という事になる。天王寺を出てから和歌山までノンストップで、その後は御坊、紀伊田辺、白浜、周参見、串本の順に停車する。

風光明媚な海岸線はやはり和歌山を過ぎなければなかなかお目にはかかれない。2時間半と少し…は長い様でもあり、あっという間の様でもある。が、やはり同じ姿勢でじっと座っていると疲れてくるものである。このオーシャンアローには展望ラウンジコーナーがあり、自由にくつろぐ事が出来る。

食堂車やビュッフェ・サロンコーナーなどが消えつつある中で、このようなフリースペースは、いまや珍しい設備と言えるだろう。
座席をわざわざ割いて、定員外のこういう空間を設けているのも、JR西日本が「オーシャンアロー」を特別なものとして生み出したことが分かるようだ。

展望ラウンジのソファーとスツールは全て一方を向いている。これは紀勢線に入ると海側を望める仕掛けというわけだ。
スツール側(展望窓側)にはカウンターテーブルの下の裾部にも窓ガラスが嵌め込まれていて、これがなかなかスリリングな感じで面白いものである。

オーシャンアローの展望ラウンジ 車窓からの風景…R42号線と太平洋 本州最南端の駅 JR西日本 串本駅
オーシャンアローの展望ラウンジ 車窓からの風景…R42号線と太平洋 本州最南端の駅 JR西日本 串本駅

青い空と青い海、黒潮踊る潮岬
大阪天王寺からJRきのくに線の特急「OCEAN ARROW」に乗り込み、揺られることおよそ2時間40分。
本州最南端の町、南紀串本へ到着!
都心ではまだ肌寒さが残るなか、さすがに黒潮の恩恵を受けるここ串本では一足早く桜も咲くほどの暖かさが感じられる。
串本駅に降り立つと、真っ青な空と爽やかな潮の香りがどこからとも無く漂ってくる。
早速、駅前からバスに乗り本州最南端の町のさらに最南端の地、潮岬へと向かった。


串本駅前から熊野交通バス「潮岬」行きに乗り、バスに揺られておよそ20分足らず。
紀伊半島南端、北緯33度26分に位置する本州最南端の岬に到着。バスを降りて潮岬灯台へと向かう道にはスミレや春の野草が沢山咲いていた。 大阪の街中では見られない光景にしばし足を止め見入ってしまった。 一足早く咲き始めた桜が植えられた駐車場を通りぬけ、灯台へ到着。

日本で最初に建設された一群の洋式灯台であるこの潮岬灯台は30mの断崖に聳え立つ白亜の美しい灯台である。真っ青な空に聳える白亜の灯台と海の青さのコントラストがとても綺麗で、何故かエーゲ海を思い起こさせる。
明治6年の初点灯以来、100年余りの長い年月、海上交通の要所として沖行く船を照らし続けている灯台。その灯台の中から68段の螺旋階段を上り台上に出てた瞬間、眼下には雄大な太平洋の大海原が広がった。
目の前に広がる太平洋の向こうに陸地は見えず、本州の最南端、さらに日本の果てまで来ていることを実感することができる。

灯台を後にし、700mほど歩くと望楼の芝なる広場がある。広い芝生の先には青い空と海が広がり、その境目には緩やかな弧を描く水平線が見え、地球が丸いということを感じさせてくれる。
さらに先端へと歩き、断崖の遊歩道から海を見ていると、辺り一面に咲いている浜大根の花を発見!浜辺に咲く花だが、断崖とは言え海辺だから咲いているのだろうか・・・
背景の海の青と紫色の花びらが太陽の光に透過されて輝いているのが印象に残った。

望楼の芝には展望タワー、土産物を売る小さな売店もあり、タワーに上って見る太平洋や潮岬灯台はまた一味違って見える。
遥か遠くの沖行く船を眺めていると、心が洗われる想いがした。ここ潮岬は「日本の朝日・夕日百選」に選ばれたスポットでもあるので、ゆっくり日が沈むのを楽しむことも良いだろう。


青空に向かって聳え立つ白亜の潮岬灯台 岬の断崖にも浜大根の花が咲き乱れて・・・ 潮岬灯台展望台より太平洋を望む
青空に向かって聳え立つ
白亜の潮岬灯台
岬の断崖にも浜大根の花が
咲き乱れて・・・
潮岬灯台展望台より太平洋を望む

紀伊大島、奇岩 橋杭岩
望楼の芝、展望タワーを後にし、次なる目的地「紀伊大島」へ向かうことにしよう。
熊野交通のバス停「タワー前」からバスに乗り込み、海岸線を暫し東へと走る。
やがて海岸線から内陸部へと入り、岬の東部へと差し掛かる。目の前には紀伊大島とくしもと大橋が姿を見せる。

串本本土と大島をつなぐ、くしもと大橋は苗我島に架かる386mのループ橋と290mのアーチ橋で構成されており、平成11年9月8日に開通した。
昔は大島と串本を行き来するのは巡行船しか無かったものが、この橋が開通した事によって交通の便は非常に良くなったことだろう。
また、この橋の上から見える景色もとても素晴らしく、本州最南端の入り組んだ海岸地形がじっくり眺望でき、季節が良ければ車の窓を全開にして走ると気分が良いのは言うまでも無いだろう…

串本と言えば、「ここは串本、向かいは大島 仲を取り持つ巡行船…」と串本節に唄われ有名であるが、くしもと大橋が開通して以来、巡行船も今は運行されなくなってしまったのは残念である。

橋を渡り、大島の東端の樫野の断崖に立つ樫野埼灯台へ…
日本最古の石造り灯台が今も活躍している。今は無人灯台で、残念ながら内部は非公開だ。が、灯台のすぐ横に設けられた螺旋階段を登ると、勝浦や太地町の梶取崎まで見通すことが出来る。

また、敷地内にはかつて常駐していたイギリス人技師が故郷を偲んで植えたと言われる水仙が今も群生している。今回の旅は花の時期は終わっていたが、冬には可憐な花が咲き乱れ、あたりは甘い香りに包まれるそうだ。
また、機会があれば冬に咲き乱れる水仙の花を見に来るのも良いだろう…

樫野埼灯台を後に、再度くしもと大橋方向へと走り金山展望台へ向かった。

バス停「金山登山口」で下車し、約1kmの亜熱帯植物がうっそうと生い茂る道を登り、遊歩道を抜けると標高90mの展望台がみえてきた。
ここは、串本の町並みや潮岬の台地、遠くは那智山や太地町までもが一望できる大島のビューポイントだ!
また、標高90mの展望台から眼下に眺める橋杭岩は串本側の浜辺から見る橋杭岩と一味違った趣である。

紀伊大島から再びくしもと大橋を渡り串本の町へと向かう。次なる目的地、橋杭岩へ…串本で勝浦駅方面活きのバスに乗り換え、「橋杭岩」で下車、もう目の前にはそそり立つ岩が見えている。

橋杭岩は大小40個余りの岩柱が850mほどの列を作り、串本から紀伊大島へと向かってそそり立っている。そして、その並び方が規則的でまるで橋の杭のように見えるということから、この名前が付けられたといわれている。

海の侵食によって硬い部分だけが残り、橋の杭だけが立っているように見える奇岩として知られている。間近で見るこの岩は大きく聳え立っていて、展望台からのそれとは全く違った姿で、自然のなせる業を痛感した。
またその昔、弘法大師と天邪鬼が一晩で橋を架ける賭をして、一夜にして立てたという伝説も残っている。
吉野熊野国立公園地域にあり、国の名勝天然記念物に指定されている。

橋杭自然公園をぶらぶら歩き、宿へ戻り今夜はのんびりと温泉に浸かり、明日からの旅へ繋ぐことにしよう。。。

望楼の芝から太平洋を望む… 串本本土と紀伊大島をむすぶ 「くしもと大橋」 橋杭岩
望楼の芝から太平洋を望む… 串本本土と紀伊大島をむすぶ
「くしもと大橋」
橋杭岩

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